方言データ3000以上

<俳優それぞれの特徴に合わせて方言データを作成する。担当している演者の数は50人以上、ファイル数は3000を超えるという>

『らんまん』の時には、方言データは標準的なスピードでしゃべる1種類だけでした。『あんぱん』では、結太郎役の加瀬亮さんから依頼されたことがきっかけで、ゆっくりと話しているものも作りました。ほかの演者さんからもすごく好評で、標準的なスピードのものと2種類作るのは大変ですけれど、取り組んでいます。

演技について話す竹野内豊さん(左)と西村雄正さん(右)
寛役の竹野内豊さんに指導する西村さん(『あんぱん』/(c)NHK)

方言データを作るときには、それぞれ演者さんの芝居のテイストを入れて、感情を乗せたように吹き込んでいます。たとえば河合優実ちゃんだとゆっくり話すので、ゆっくり入れます。原菜乃華ちゃんだったら、天真爛漫に吹き込みます。竹野内豊さんだったら渋く、子役の時には、高い声で入れました。感情を入れずに淡々と吹き込め!という方言指導者もいます。僕も以前は淡々と吹き込んでいたのですが、自分が演者の立場だったら、感情がこもっていて、どこで音が最も大きくなるかわからないと芝居にならないと思ったんです。

方言指導では、演者が損をしないということが絶対だと思っています。うまくいけば「あの人耳がいい」とその人の仕事にとってプラスになりますから。