「きみは、本当は、いい子なんだよ!」
すぐに、私はトモエ学園での新しい生活を楽しむようになった。小林先生の主義は、
「子どもたちをできるだけ自由に、のびのびと育て、それぞれの個性をのばす」というものだったから、私は、文字通り、自由に、のびのびと、喋ったり、走り回ったりしていた。つまり、相変わらず好奇心のおもむくまま、教室の内でも外でも、毎日のように事件(?)を起こしていた。きっと、他の先生や保護者の方たちからは、「あの転校生はひどい、またこんなことをして」といった苦情が、しょっちゅう、校長先生のところへ届いていたに違いなかった。
だけど、小林先生は私と顔を合わせるたび、全然何もなかったふうに、
「きみは、本当は、いい子なんだよ!」
と、必ず声をかけてくださった。私は、大好きな校長先生がそう言ってくださるのだから、いつもうれしくなって、「そうです、私は、いい子です!」と、飛び跳ねながら答えていた。小林先生に言われなくても、私はみんなに親切だし、動物にも優しいし、自分はいい子だ、と勝手に思い込んでいたのだ。