イチョウ葉エキス

ハーブのイチョウ葉も、よく認知症予防の世界で宣伝されがちなサプリメントです。イチョウの葉から抽出されるエキスは、「イチョウ葉エキス」としてさまざまな用途でサプリメントに利用されています。

古くから中国の伝統医学で用いられており、血流を改善し、抗酸化作用があるとされています。また、記憶力や集中力を高める効果があるとも宣伝されることがあります。その根拠は、一部の研究で、軽度の認知機能障害やアルツハイマー型認知症の症状を一時的に改善する可能性が示唆されたからです(2)。

(写真提供:Photo AC)

しかし、このイチョウ葉エキスについては、本格的な試験が繰り返し行われており、例えば3000人以上の高齢者を対象とした試験では、イチョウ葉エキスを長期間摂取しても、認知症の発症リスクに有意な差は見られなかったという結果が出ています(3)。

このことは、イチョウ葉エキスの有効性を完全に否定するものではありませんが、このような結果を受けて、イチョウ葉エキスは認知症予防の文脈では無効である可能性が高いと考えられています。

(2)Le Bars PL, Katz MM, Berman N, Itil TM, Freedman AM, Schatzberg AF. A placebo-controlled, double-blind, randomized trial of an extract of Ginkgo biloba for dementia. North American EGb Study Group. JAMA. 1997;278(16):1327-1332.
(3)Snitz BE, O’Meara ES, Carlson MC, Arnold AM, Ives DG, Rapp SR, et al. Ginkgo biloba for preventing cognitive decline in older adults: a randomized trial. JAMA. 2009;302(24):2663-2670.