一種のフリーズ状態に入ってしまう

つまり、定年退職とは、脳の活動停止スイッチを押すようなもの。役職や地位に強く依存していた人ほど、肩書を失った途端、自分自身の存在価値まで失ったように感じ、脳が「変化に対応できない」と判断して一種のフリーズ状態に入ってしまうのです。

ときどき、退職後も「**株式会社 元部長」などという以前の肩書入り名刺を持ち続ける人がいますが、こうした行動は、内心に浮かぶ強い不安を抑え、自分の社会的価値を保つために行われているのです。

『60歳からの脳の使い方』(著:茂木健一郎/扶桑社)

また、定年退職によって社会的な評価が低下すると、自尊心や自己肯定感を支える脳内の報酬系回路が刺激されにくくなるという弊害もあります。

こうなると、「何をやっても面白くない」「やる気が湧かない」という悪循環に陥ってしまうのです。