ときには深刻な機能低下も

脳が役割を失うことで引き起こされるのは、単なる意欲の低下だけではありません。ときには深刻な機能低下を引き起こすこともあります。

会社を辞めると、人との交流が必然的に減り、孤立する方が増えます。当然外部からの刺激が減るので、脳の神経回路の活動が低下します。

(写真提供:Photo AC)

さらに、定年後は収入が減り、「生活費を節約するために出かけるのを控えよう」と外出を控える傾向が見られます。しかし、脳の活性化に欠かせない運動量が減ればますます脳の働きも低下してしまうのです。

こうした要素が積み重なり、定年を通じて、脳の働きが弱まり、時にはうつ症状を引き起こすなどの事態に発展することもあります。

※本稿は、『60歳からの脳の使い方』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
「実際に介護した人は葬式で泣かない」自制や我慢が効かなくなった高齢者は、介護する側の心身を蝕んでいく
脳科学者・中野信子 京都の人の<本音を隠す>コミュニケーションを見るたび「ああ、すごいな」と強く感じて。確認すべきは「言わなくていい本音はいっぱいある」という事実
黒川伊保子「働く母」であり続けたことを初めて後悔したのは、息子が15歳になったときのこと。「何もしていないのに子育てが終わってしまった」と嘆く私に、息子が伝えた<答え>とは

60歳からの脳の使い方』(著:茂木健一郎/扶桑社)

何歳になってもボケない、若返る脳の使い方とは?

「いつまでも元気なあの人」は何が違うのか?

脳科学者・茂木健一郎氏が教える、今日から豊かなセカンドライフを実現する秘訣満載!