介護破産を回避するには

5つのケースを紹介したところで、介護資金をうまくやりくりするためのポイントを3つお伝えします。

(1)介護は10年以上続くと考える

施設に入居したものの費用が足りなくなり、不足分を請求された子どもが自己破産をする例も。介護は最低でも10年と考えましょう。

(2)親の預貯金、株、保険、不動産を把握すると同時に借金の有無もチェック

もし自分たちで収支表を作成するのが難しい場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)やFP資格のある保険関係者に相談しましょう。

(3)家族だけで抱えず専門家に相談

一人で情報を集めるのには限界があります。介護内容についてはケアマネジャーなど介護の専門家に、介護に関する費用の話は弁護士、税理士、FP、保険関係者、不動産関係者といったそれぞれの専門家に相談しましょう。

「敷居が高い」と思う人も多いでしょうが、専門家の知恵を借りることは、時間も労力もお金も省くことにつながります。弁護士会や税理士会主催の相談会を利用するのも一案。プロの知恵や意見を取り入れながら、親の介護を賢く乗り越えていきたいですね。

親の介護を乗り切るための家族会議チェックポイント

親の介護が始まる前に、お金のこと、誰が中心となって介護をするのかなど、家族で確認しておくことが重要です。きょうだい・親族間でスムーズに介護を行うため、家族会議で話し合っておきたいポイントについてご紹介しましょう

基本編

□ 介護は誰が中心になってする?
□ 施設入居か在宅介護か
□ 遠距離介護か、子どもの近くに呼び寄せるか
□ 介護をしないきょうだいは、どう援助する?
□ 費用の不足分は誰がどう負担する?
□ 介護にかかる交通費は、誰が負担する?

応用編

□ 親がお金の話を嫌がる場合は、保険の話から
□ 不動産の処分を検討するときは、お金の専門家にも意見を聞いてみる
□ 介護に要した時間や支出を記録した、介護日誌をつけよう

家族会議は、親に判断能力があるうちに行うことをおすすめします。金融機関や不動産の取引は本人でないと受けつけてもらえません。親の認知症が進むと、家族ができることは非常に限られます。早めの対処をお忘れなく。


いつか親子で共倒れに⁉ 介護破産を招くお金の死角とは
【前編】雑費費の計上忘れ・親に貯金がない
【後編】遠距離介護の交通費・介護者ががんに・介護離職