予防策1:筋肉を鍛える

先ほども書いた三大疾病の予防は簡単ではなく、実際には早期発見、早期治療が対策になります。しかし誤嚥性肺炎は自分で未然に防ぐことができます。

誤嚥性肺炎の原因は「喉の蓋を操作する筋肉の衰え」なので、その筋肉を鍛えれば嚥下機能は回復します。そのために行うのが、べろ(舌)のエクササイズです。

「どうして喉の筋肉なのに、舌を鍛える必要が」と思われたかもしれません。実は舌は、喉の奥の方で喉の筋肉と繋がっています。つまり、単独で鍛えるのは難しい喉の筋肉も、舌を鍛えることで間接的に鍛えることができるわけです。

エクササイズにはいくつか種類がありますが、最も簡単で効果の高い方法を3つご紹介します。どの方法も1日3、4回行うだけで効果が出るでしょう。

初めにご紹介するのが「舌回し」です。

舌を歯の外側に入れて、唇を閉じて舌を時計回りと反時計回りに5回ずつ回します。 コツは舌で頬を押すようにして一周5秒くらいかけて、ゆっくりと回すこと。舌の奥の喉のあたりに疲労感を感じますが、筋肉が鍛えられている証拠です。

次の「あいうべ体操」は、文字通り「あ」「い」「う」「べ」を大袈裟に言うようにします。

「あ」では喉の奥まで見えるように口を大きく開け、「い」は上の奥歯の外側が見えるくらいに口を横に開きます。「う」は唇をすぼめて鼻より前に突き出すように、「べ」は「あっかんべー」のように、舌を前に思いっきり出しましょう。

最後はNHK「あさイチ」でも取り上げられた「全力5秒うがい」です。

100ミリリットル程度の水をコップに入れて、3分の1(約30ミリリットル)を口に含んで「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」を5秒間ずつ行います。「ブクブクうがい」は頬を思いっきり膨らませたり、へこませたりしましょう。またうがいに合わせて舌を前後に動かします。「ガラガラうがい」は喉が動いているかを意識しながら、3回くり返してください。