予防策3:歯科医院でのプロケア

ここまでの予防策は主にセルフケアでしたが、嚥下機能の低下は自覚することが難しいので、歯科医院でお口の機能検査を受けることもお勧めします。

検査方法は親指くらいの大きさのプラスティックの風船を口の中に入れて舌で押すだけ。測定時間は7秒で痛みもなく、保険治療で気軽に受けられます。

ご自身で検査する方法もあります。使うのはネットで購入できる「ペコぱんだ」(JMS株式会社)という舌圧トレーニング用具。6種類の硬さのうち、測定基準値と同じ「硬め」をクリアできれば嚥下機能の衰えはない、といえるでしょう。

なお歯の本数が少なくなれば、口の機能にも影響します。

歯を失う原因で最も多いのが歯周病とむし歯ですが、日頃のセルフケアだけでは十分と言えません。悪い菌は歯にこびり付いて、歯ブラシだけでは絶対に取れないからです。

一方、歯科医院で行われるプロケアなら除去することができます。パウダーで除去する方法なら、痛みや器具を使った際によくある振動による痺れなどもありませんのでご安心を。

肺炎対策として肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種も大切ですが、今回紹介したような口の面からの対策を行うと、誤嚥性肺炎の予防にもなり、「元気で長生き」にもつながります。

嚥下機能は思ったより衰えが早く、40歳代で3人に1人、50歳代で2人に1人が既に衰えていると言われています。早めにしっかりと対策し、美味しいお食事をいつまでも楽しみましょう。

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