赤ちゃんを迎えるまでに

特別養子縁組の申し込みを支援団体にするにあたっては、とても詳細な書類の記入が必要でした。これまで、私たち二人がどのような考えを持って人生を歩み、実際にどんな生活をしてきたか、どうして結婚したのか、なぜ子どもを授かり育てていきたいと願うのか、など。こんなに熱のこもった文章を書いたことは、これまでになかったと思います。

書類と家庭訪問、自宅環境などの審査を経て、登録が完了したという通知を団体から受けとったのは、偶然にも、私が舞台に復帰した初日。ご縁を感じました。

「赤ちゃんが決まりました」と連絡をいただくまで、半年ほどだったでしょうか。待ちに待った知らせの1ヵ月後、とうとう赤ちゃんがわが家にやってきたのです。

そこから6ヵ月ほどは「試験養育」とよばれる期間になります。その間は支援団体や児童相談所の方が頻繁に連絡をくださり、ミルクの量から風邪をひいたときの対応まで、育児方法も含め相談に乗ってくれるのです。細やかな支えが、どれほど心強かったことでしょう。

養育の様子は後に細かく家庭裁判所に報告され、特別養子縁組の審査の対象となります。わが家の子育ての様子や、子どもとの適合性を見られていたというわけです。

そして、法律のうえでも親子の関係となるために、家庭裁判所に特別養子縁組の申し立てを行いました。審査を経て、審判が下されたという通知が来るのが、本当に待ち遠しかった。先月(2018年2月)、ようやくその待望の日を迎えることができたのです。