撮影:清水朝子
本日4月4日は公益財団法人・日本財団が制定した「養子の日」。特別養子縁組制度への理解を深める記念日です。元宝塚トップスターの瀬奈じゅんさんは、舞台俳優の千田真司さんと結婚後、一時は仕事をセーブして不妊治療に取り組みました。しかし、ある思いから治療を中止。2017年、実の親が育てることができない赤ちゃんを引き取り、「特別養子縁組」で、晴れて法律のうえでも親子となりました。翌年、『婦人公論』で決断に至るまでの思いを明かしています。【前編】で特別養子縁組をする決断をした瀬奈さん、【後編】ではいよいよ手続きが始まります。(撮影=清水朝子 構成=菊池亜希子)

〈前編はこちら

「不妊治療の末の選択でもいい」という言葉に心救われた

夫と話し合い、特別養子縁組を前へ進める決心を二人で固めました。間に入ってくださる支援団体をいくつか訪ねてお話をうかがい、私たちがいちばん心惹かれた団体のお世話になることに決めたのは、2016年の秋のこと。

支援団体は少しずつ考え方が違って、それぞれに特徴があります。私たちがお世話になったNPO法人の方は、「不妊治療の末に、特別養子縁組という選択があってもいいと思う」とおっしゃいました。その言葉が私を救ったのです。

もともと特別養子縁組は児童福祉のための制度。だから、「不妊治療の末」ということを好まない団体もありました。それも一つの考え方で、良い悪いではないと思います。

私自身、不妊治療をしてきて、妊娠出産は諦めたけれど、子どもを授かりたい、育てたい、という気持ちは諦められませんでした。それはエゴなのかな……と悩んだ時期もあります。そんなとき、「不妊治療の末の選択でもいいと思う」と言っていただけて、心のなかの霧がパーッと晴れていく気がしました。

不妊治療を頑張っている方、やめどきに悩んでいる方、たくさんいらっしゃると思います。まさに私がそうでした。だから、選択するしないはさておき、特別養子縁組という制度があることを知っていただきたいと思います。できれば、不妊治療をやめるにやめられず、精根尽き果てた末に知るのではなく、もっと早く知ってほしい。赤ちゃんを迎えてから、長い子育てが始まるのですから。