介護における「目に見えないコスト」
介護にかかる費用には、目に見えないコストも存在する。介護が必要になることで、家族が負う経済的・精神的な負担は計り知れない。
例えば、家族の誰かが介護を担うために仕事を辞めたり、働く時間を減らしたりすることは少なくない。こうした「介護離職」や「労働時間の制約」は、その家庭における収入の減少や、今後のキャリア形成に深刻な影響を与えるだろう。介護にかかる費用とは、単に施設やサービスに支払う金額だけではなく、家族の働き方や生活スタイル全般に影響を及ぼす広範な負担を含んでいるものである。
また、金銭的な負担だけでなく家族が介護を担うことによる精神的なストレス、時間的な拘束、そして家庭内での役割の変化も、見えないコストとして存在している。
とくに認知症の在宅介護では、24時間の見守りが必要な場合も多く、介護者が常に緊張を強いられる状況に追い込まれることがある。このような精神的な負担を軽減するために、一時的に介護を外部に委託する「レスパイトケア」も利用されるが、これにもまた別途の費用がかかることになる。