政演のことが羨ましい

最初に芝居を見せた際にも、演出から「もっともっとチャラく!」と。それで悩んでいたら、「何も考えず、とにかく頭の中は常に女性のことでいっぱい、という感じで」と言ってもらえたのが、ヒントになりました。

それで、ただ底抜けに明るいというより、吉原のように、背景に彼を高揚させる存在があって、その影響でウキウキしている、というイメージが出来て。「吉原に行きませんか?」、なんて一言を入れてもらうことで脚本にも助けてもらいながら、今の政演のキャラクターにたどり着くことができました。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

政演という人物についての印象は、一言で言って“羨ましい”ですね。特に、多少まずいことを言っても「まあ、あいつならしょうがねえな」って済まされたりするところが羨ましいです。

実は僕自身、そういう存在に憧れた時期があって。

自分で言うのもなんですが、僕って怒られやすいタイプだと思うんです。たとえば、稽古場でも周りから何も言われない人と、なぜかよく怒られる人がいるなか、僕は割と後者で(笑)。

普段から、器用に立ち回ることが苦手なタイプなので、下手なことを言ったり、変なことをしても憎まれないような人って良いなあ、と本気で思っていた時期がありました。

確かに21回では恋川春町からキレられますが、当の本人は気にすることなく、しまいには踊っていたりする(笑)。

それでいて人の懐にもすんなり入っていくわけで、やはり政演は自分とかなり異なるキャラクターですし、率直に言って羨ましいです。