マザー・ハーブ

その彼女がしばらくすると私のオフィスに戻ってきました。そして、あるものを差し出しました。湯気が立つ、大きなマグカップです。

「これ、お飲みなさい」

『パリジェンヌはダイエットがお嫌い』(著:藤原淳/ダイヤモンド社)

アナベルに見守られながら一口飲んでみると、温かい液体が胃に優しく染み渡ります。とてもいい香りがするハーブティーです。

「カモミールティーよ」

古代エジプトで安眠薬として重用されていたカモミールには鎮静効果があること。ストレスによる疲れや緊張をほぐすこと。生理痛にも効くことから「マザー・ハーブ」とも呼ばれていることをアナベルは教えてくれました。

「発汗作用もあるから冷え性のジュンにはピッタリよ!」

そう言うアナベルになぜ、私が冷え性だということがわかったのか聞いてみると、彼女は即答しました。

「見ればわかるわよ。顔色悪いし」

アナベルがお察しの通り、私は夏でも手足の先や腰などが冷えやすく、その頃は肩こりにも悩まされていました。そしてそれを「育児で睡眠不足のせい」、「仕事が忙しいせい」と片付け、特に対処せずに過ごしていました。