長男が豹変した理由は

いったい何があったのか。私は長男に連絡を取り、面談の場を設けました。そこで見たのは、かつての誠実な面影とは異なる、疲れ切った姿の彼でした。

「もう毎日が嫌なんです。嫁とも揉めていて…。そのうえで、母の世話をするのは限界なんです」

詳しい話について最初は口を濁していた長男でしたが、私が「このままでは家族がバラバラになるだけでなく、裁判沙汰になるかもしれない」と言うと、「実は……」とポツポツと話し始めました。

長男いわく、一度離婚をしたあとに今の奥様と再婚したが、その奥様と母親との関係がうまくいっておらず、遺産分割の際にも、不動産を相続したにも関わらず、「現金が少なすぎる」と不満を抱えていたとのこと。

その母親に介護が必要になると、彼女は「私の人生をあなたの母親の介護で潰す気か!」と、離婚をちらつかせながら、長男に強烈なプレッシャーを与えていたようです。

さらに、奥様の母親からも「あんたの母親の面倒を見させるために、娘を嫁に出したんじゃない!」と毎日のように責められていると。

営業職で多忙な毎日の中、家に帰れば妻や義母からの叱責、そして母親や妹たちからは介護への期待…。重圧の中で、長男は精神的に追い詰められて、うつのような状態になっていたのです。