B宝館には、多種多様なコレクションが並ぶ

結婚後に建てた一軒家にもコレクションルームを設けたものの、すぐいっぱいになりました。その後も自宅のほかに広めのトランクルームを2つ借り、コレクションを飾るための家も建てましたが、まったく追いつかない。

だんだんと本人の中で「博物館を開きたい」という夢が膨らんできたタイミングで、知りあいの不動産会社の人が「いい物件があります」と。

そうなったら、反対したって聞く耳を持ちません。これまで貯めた1億8000万円の現金払いで即購入。50代後半でそんな大きな買い物をして大丈夫なのかと心配しましたが、本人は「使っちゃったら、仕事をすればいいだけだ」と考えていたみたいです。とにかく、働くことが大好きな人でしたから。

夫とは、勤め先の日本専売公社(現・JT)で知り合いました。私が働いていた関東支社予算課と彼が働いていた本社主計課の新年会に参加させられたのです。予算課には当時、20代の女性は私だけで、目の前に座らされて話をしたように思います。

その後、何かと理由をつけては私の職場に電話をかけてきたり、用を作って支社に顔を出したり。そのうちデートをするようになって、1年半後にプロポーズを受けました。

結婚を決めた理由は、森永が怒らない人だったから。私の実父は「でも」と言っただけで「親に口答えするのか」と怒るような人で、すごくこわかった。

夫は仕事で激しい討論をすることはあっても、家族に対しては声を荒らげて怒ることはありませんでした。