「歌手は夜光虫と同じ」
――加藤さんも世界の各地でレコーディングをされていますが、日本と違う部分を感じたりするのでしょうか。
加藤:オケが良くないなって思ったとき、日本では「良くない」って言うのがすごく緊張するんですけど、海外でははっきりと「No」って言っていい。というか、言わないと進まないんです。1 回Noと伝えることで、向こうが本気になって向き合ってくれるようになるの。
Nozomi Lyn:なるほど。
加藤:ミュージシャンというのは夜光虫と同じ。刺激の無いときは光を出さない。「No」とはっきり言われて、刺激されることでカーッと光るのよね。特に海外のミュージシャンはそうだなと感じます。遠慮がちな日本人とは違って、自分に「上手く行ってないなあ…」とか絶対言わないよ。「Good」「最高~」とかね。自己礼賛がすごいの。だから常に自分に自信をつけないと。
Nozomi Lyn:私は日本人の血も入っているから、その真ん中なのかもしれない。遠慮とか、やっぱりしてしまいます。自分がいくらすごくても、やっぱり感謝の気持ちを持つことが大事というか… 。日本語でなんて言うんでしょう…えーっと。
加藤:謙虚さを持つってことね。でも遠慮したらダメよ。フランスとかアメリカから相当の歌手が来ると「すごいのが来た」って普通なっちゃうんだけど、彼らは必ず「君は何を望んでいるのか」って聞いてくれるの。そこで「希望通りじゃない」「これは違う」と、ぐって顔をしかめると、本気になってくれる。力のある人ほどそうなのよ。
Nozomi Lyn:正直にやることがすごく大切なんですね。
加藤:曲を一緒に作るには、相手にはっきりと意見を伝えないと。「違う」って言うと、ピカッと光るわよ。そこからちゃんとやってくれる。今まで海外でいっぱいレコーディングする機会があったんだけど、面白いよね。南アフリカやウイーンなんかに行くと、ルーツが謎のミュージシャンなんかもいるし。