大切な人に届く歌に 

――『渡り鳥の子守唄』に込めた思い、曲を通して伝えたいメッセージはありますか。 

加藤:歌詞は元々できていて、私が歌うつもりじゃなかったんですよ。もっと若くて、初々しい人に歌ってほしいというのがあって。そこにNozomi Lynさんが現れたっていう。 

Nozomi Lyn:私にとって、それがとてもタイムリーでした。 

加藤:日本の若者も海外に行ったりするじゃない。飛び立っていく鳥だけじゃなくて、それを見送る家族のほうにも届く“手紙”みたいな歌になればいいなって思う。家族と離れた国で暮らしている人が、寝る前に一人になったとき、ふっと抱きしめたい人を思い出すみたいな。そんな懐かしい歌になってほしいなと思います。 

Nozomi Lyn:そうですね。 

加藤:最初、あなたからデモテープをもらったとき、歌を聴いてすごい泣いたの。ありのまま歌っていて、まっすぐ伝わってきた。子守唄って寝る前に母親が子どもに聴かせる歌。洋服も脱いで化粧も落として、一番素の自分に帰れる時間に歌っている歌だから、「上手に歌う」ということはいらないのよね。頑張って歌っているとダメなの。あなたはそれができる人。この歌が、すっかりあなたのお父様の子守唄になっちゃってるんでしょ? 

Nozomi Lyn:父は、デモテープを毎日聴いているみたいなんです。 

加藤:デモテープよりも本番の方でお父様を泣かさなきゃね。 

Nozomi Lyn:はい!