「たまたま短大で教職の資格を取っていたんです。そうしたら、とある学習塾が先生を探していて、ぜひやってくださいと頼まれて。教え子のお母さんが今も近所にたくさんいて、スーパーのレジで並んでいると、『先生』なんて声をかけられます」
そう言って笑う今橋さんの胸元には、セコムの赤い見守りペンダントが揺れている。いざというときに握れば、緊急対処員が駆けつけてくれるシステムだ。
夫は亡くなる数年前に、老後を見越して家を建て替えた。鉄筋の堅牢な作りで災害対策を施し、3階建てにして一人用の小さなエレベーターを設置。そのとき、セコムにも加入したのだ。
「80歳過ぎての建て替えに子どもたちは驚いたけど、今はやってよかったと言っています。私自身は昔の日本家屋のほうが、収納が多いから好きだったんですけれどね。でも防災や防犯面では安心だし、エレベーターもすごく助かっています」
今橋さんはリウマチの持病があり、要介護2だ。主治医が要介護認定の申請を勧めてくれて、夫のケアマネジャーが担当に。主治医に「介護サービスは、使えるものは使うべき」と助言され、ケアマネと相談しながらケアプランを組んだ。
今は週に1度の買い物と炊事、別の日に1度、掃除担当のヘルパーが来る。また毎週、自宅に理学療法士が来てリハビリもしている。
趣味のゴルフは60歳で始めて80歳まで。長く続けていた観世流の謡は、先生が亡くなって2年ほど前にやめてしまった。だが、地域住民だけでなく、仕事や趣味を通じて知り合った友だちが多く、お茶を飲んだり電話で話したり、お土産やおすそ分けを届け合う。そんな人間関係に毎日支えられているのだ。