2つのポイント

24年、労働政策研究・研修機構の岩脇千裕氏は、朝日新聞紙上でそのポイントに「若い世代の労働者人口減少」と「正社員の人手不足」を挙げています(同6月25日掲載)。

たとえば、日本の若年(15~24歳)労働者人口は、07年から17年までの10年間で78万人も減少しました(総務省「就業構造基本調査」)。また、現20 代の人口は、彼らの親世代の多くを占める「団塊ジュニア(71〜76年生まれ/現49〜54歳)」が20代だったころに比べ、3割以上も減っています(同「人口推計」)。都市部に比べ、地方ではさらに深刻な状態であることは、言うまでもありません。

『Z世代の頭の中』(著:牛窪恵/日本経済新聞出版)

つまりは採用段階で、企業が昔以上に苦労を強いられる状況にある。しかも岩脇氏によれば、先の10年間で「正規雇用者(正社員)」が約67%から74%へと大幅に増えたとのこと。

一般に、正社員は非正規雇用者以上に、採用段階でお金や手間(時間)がかかります。だからこそ「『辞められて困る』という体感が、以前(バブル期)よりいまのほうが強いのではないか」と岩脇氏。なるほど、私もそう思います。

さらにいえば、中途採用も厳しい状況です。こども家庭庁が発表した「子ども・若者の状況及び子ども・若者育成支援施策の実施状況」(旧「子供・若者白書」)によれば、23年時点の完全失業率は、20〜24歳、25〜29歳でそれぞれ4.2%と4.1%。ピーク時の00年代初頭に比べ、3〜6%程度も減少しました。

これ自体は喜ばしいのですが、企業側が「中途採用しよう」と願っても、求人市場に十分なリソース(人材)がないわけですから、苦難を強いられてしまいます。つまり、昔と同程度の若者に辞められても、いまはダメージがより大きい、だからこそ、誰かが辞めるたびに「また辞めた」「これだから、いまの若者は(堪え性がない)」と感じやすいのでしょう。