私は大学卒業後、社会に出るつもりでしたし、結婚なんてまだまだ先と考えていました。ところが「私も学生結婚だったし、三浦家にはそういう伝統があるのよ」と、舌鋒鋭い曽野綾子流の口調で断言されると、なぜか「そうかもしれない」という気持ちになってくるのです。
その夜、太郎から電話がかかってきた際、「結婚しなさいと言われた」と伝えたら、「じゃ、しようか」(笑)。「大丈夫。両親がそう言ってるんだから、生活費も出してくれるよ」。そんなこんなで、私は学生のうちに結婚することになりました。
どんな結婚生活だったかというと――サラリーマン家庭で育った私にとっては驚くことばかり。食事中も、私を除く親子3人で丁々発止と社会情勢などについて意見を戦わせるのですが、そのスピードが半端なく速い。
バーッと意見を言い合いながら、食べるのも恐ろしく速くて(笑)。私がのろのろ食べながら緊張して黙っていると、「というわけだ。じゃあ、ごちそうさま」と義父。タイムイズマネー、時短家族です。それだけ忙しかったのでしょう。