とはいえ、同じくサティの『スポーツと気晴らし』の第16曲『タンゴ』や、ショパンのマズルカ作品7-5のように終止がなく永遠に繰り返され得るものや、ジョン・ケージ『オルガン2/ASLSP』のように約639年以上かけて演奏されることを目的として作られたものなども存在するんですよ。上には上がいますよね(笑)。

サティに話を戻すと、彼の作る作品には変わっている題名が多い点も《珍ポイント》でしょうか。『官僚的なソナチネ』『犬のためのぶよぶよとした前奏曲』『梨の形をした3つの小品』『干からびた胎児』など。

特に『官僚的なソナチネ』は、サティよりも110歳くらい歳上の作曲家のクレメンティのソナチネをパロティ化した作品です。クレメンティといえば、ピアノを本格的に学んでいる人ならば一度は彼のソナチネを弾くことになるような重要な人物なんですよ。

でもサティは、これをパロディ化して、詩までつけている。とある官僚が主役で、どこかクレメンティを揶揄しているような詩です。ぜひ、調べてみてください。

もちろん、サティの作品には変わったものだけではなく、美しい作品もたくさんあります。もっとも有名なのが、フランス人らしいエスプリのきいた『ジュ・トゥ・ヴー』など。サティ作品にのめり込むと、その幅の広さを楽しんでいただけると思います。