手術が必要だったり、重い病が潜むことも
肩こりや腰痛の多くは生活習慣の見直しで改善されますが、なかには注意が必要なものもあります。
●神経由来
加齢などにより椎間板の劣化が著しい場合、脊髄が圧迫されるため、痛み以外にも手足のしびれや冷え、よく転ぶ、物を落とすといった症状が表れます。ひどい場合には排尿障害も。頸椎椎間板ヘルニアなどは手術が必要になることもあるので、症状を見逃さず、気づいたらすぐに整形外科を受診することをおすすめします。
●重大疾患由来
最も気をつけなければならないのは、病気からくる痛みです。たとえば、単なる肩こりかと思ったら骨に腫瘍があったとか、心筋梗塞の放散痛で肩が痛むということもあります。腰痛の多くは原因不明といわれますが、腰の近くにある内臓の疾患からきている可能性も。膵臓の病気で腰が痛くなるという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。腎臓疾患や卵巣腫でも腰痛を伴うことがあります。
では、これら注意が必要な痛みはどう見分ければよいか。それが「レッドフラッグ」と呼ばれる、危険な兆候を示すサインです。主なサインを下図にまとめたので参考にしてください。痛みがあり、さらにリストのような症状があれば重篤な病気である可能性も。すみやかに医療機関を受診しましょう。
腰痛・肩こりとともに、これらの症状が出たら要注意
□ 安静にしていても絶え間なく痛む、楽な姿勢がない
□ 手がしびれる、手先が不器用になった
□ 排尿障害(尿もれ)がある
□ 胸部痛がある
□ 体重が減少している
□ 発熱がある
□ がんの既往歴がある
□ ステロイド治療をしている
しかし、「腰が痛いんです」と病院を受診してレントゲンを撮っても、とくに所見がない。湿布と痛み止めを処方されて終わり、という経験がある方も多いのではないでしょうか。痛みに潜む病気を見つけてもらうには、自身の症状を医師に正しく伝える必要があります。
いつから痛みが始まり、どんなとき、どの場所に症状があるか。特定の姿勢や動きのときに痛むなど、できるだけ詳細を整理して伝えましょう。さらに、持病はないか、がんの経験がないか、最近ケガをしたことはないか、なども医師には重要な情報です。とくにがんは再発、転移の可能性も十分に考えられるので、既往歴があればかならず伝えてください。
基本疾患がなく、どの病気にも該当しない場合は経過観察となりますが、痛みの状態や頻度などは把握しておくとよいでしょう。