加齢や筋肉の緊張で痛みは引き起こされる
最近、若いころには感じなかったひどい肩こりや腰痛が気になる、ということはありませんか。
これらの痛みの主な原因として挙げられるのは、加齢。骨がもろくなり、サルコペニア(加齢による筋肉量の低下)の発症率も高まるため、からだを支える機能が衰えてしまうのです。40歳を過ぎると不定愁訴(原因となる病気が見つからない体調不良)が増えますが、厚生労働省の平成25年国民生活調査によると、女性が感じる愁訴の1~3位が肩こり、腰痛、関節の痛み。「からだがだるい」「イライラする」といった更年期世代に感じやすい不調よりも、上位に入っています。
実は、このような痛みにはさまざまな要因が影響しているのです。
●筋肉由来
肩こりの多くは首から背中にかけて広がる僧帽筋の血行不良により起こります。筋肉は動かすことで収縮と弛緩を繰り返し、からだじゅうに血液や酸素を行き渡らせていますが、長時間同じ姿勢でいると血管が圧迫されて血行障害に。すると自力で疲労物質を排出できなくなり、こりや痛みが発生するのです。
●骨・関節由来
長時間頭を下げた状態でスマートフォンを操作するといった姿勢のゆがみは頸椎(けいつい)への負担となり、神経を圧迫する不快感が発生。関節はからだのなかで最も負荷がかかる場所ですから、首、腰、膝などいずれの関節も痛みが生じやすくなります。
●ストレス由来
肩こりや腰痛に長年悩まされている場合、脳が影響していることがあります。痛みを長い間放置すると、そのストレスにより脳が誤作動を起こし、「疼痛感作(とうつうかんさ)」を引き起こすのです。
これは脳が痛みを覚えてしまい、治ったあとも脳の中だけで痛みを感じるというもの。本当の痛みではないので、“痛み損”といってもいいでしょう。長引くと「慢性疼痛」を引き起こし、そのストレスからうつ病を発症することも。たかが痛みといえども、放置はおすすめできません。
しかしこれらの症状があっても、マッサージに行ってほぐしてもらったり、湿布を貼って応急処置で済ませたりしている人も少なくないのです。健康な状態であれば、本来痛みは発生しません。からだが発信しているSOSですから、原因をしっかり把握して改善することが重要です。