病気の原因となるめまいの特徴は

めまいを起こす病気は大きく分けて4つ。1回きりの症状なのか、耳の不調を伴うか否かで、ある程度分類することができます。次の診断チャートで確認してみましょう。

『あなたのめまいのタイプをチェック』

めまいの中で最も患者数が多いのは「良性発作性頭位めまい症」です。寝返りを打ったときや洗濯物を干しているときなど、頭を動かした瞬間に目が回るような激しいめまいを感じます。吐き気・嘔吐を伴いますが、難聴や耳鳴りなど聴覚の症状は出ません。原因は、耳石器からもろくなった耳石が剥がれ、三半規管の中に入り込むこと。その結果リンパ液が揺れ、「頭が回転している」と脳に誤情報が届いてしまうのです。めまいは大体60秒ほどで治まりますが、何度もくり返し生じるのが特徴です。

「メニエール病」も、同じように反復性のめまいを伴う病気。同時に、耳鳴り、難聴、耳の閉塞感などの症状が表れます。良性発作性頭位めまい症との見分け方は、聴覚の不調があるかないか。原因はストレスによる内耳全体の水ぶくれで、三半規管や耳石器の感覚細胞が圧迫され、めまいが生じます。ストレス過多の環境にいたり、几帳面で完璧主義の人がかかりやすいとされています。

次に単発のめまいについて。「前庭神経炎」は、内耳の奥にある前庭神経がウイルスや血流障害などで病変して起きます。前庭神経は三半規管と耳石器の情報を脳に伝える役目があるため、ここでエラーが起きると、激しい吐き気を伴いながらぐるぐる回るような強いめまいが生じるのです。なかには救急車で運ばれる人も。ただし大きなめまいはその一度きりで、聴覚の不調もありません。

「めまいを伴う突発性難聴」は文字通り、めまいと聴覚障害の両方を発症。メニエール病との違いは、めまいが治まったときに聴覚の不調が残っているどうか。放置すると耳が聞こえなくなる可能性があるので、症状が表れてから1週間以内に耳鼻科を受診してください。聴覚の不調がない場合は、内科を受診するのがよいでしょう。

このようにめまいの原因の多くは耳にありますが、脳の病気の可能性がないかというと、そうでもありません。割合はごくわずかとはいえ、手足がしびれる、ろれつが回らないなどの症状が伴う場合は脳卒中の可能性があります。速やかに脳神経外科や脳神経内科を受診してください。

もうひとつ、これらとは別ですが、高齢者の「立ちくらみ」には注意が必要です。ふわっと浮いたような立ちくらみを感じるようであれば、不整脈などの心疾患が疑われます。心臓の血流が悪く、脳が一瞬貧血状態になっているのです。心電図をとるなど、一度詳しく検査をしたほうがいいでしょう。

また、私が皆さんにとくに気をつけてほしいのは、めまいによる転倒です。めまいの症状がある人は、転倒リスクが高まります。骨盤や大腿骨の骨折などで寝たきりになれば、認知症につながる可能性もありますから、めまいを感じたら放置せず適切な医療を受けるべきです。

何科に行けばいいかわからない場合は、めまい診療の専門知識と診療技術をもつ「めまい相談医」がいる病院(※)を訪ねてみてください。

※「めまい相談医」がいる病院リストはこちらから
 ▶http://www.memai.jp/sodan-i/list2017.html