女性特有の問題

クリスティン・ベンツ:リタイアした女性が直面する問題にはどんなものがありますか?

ジーン・チャツキー:3つあると思います。まずは、いまだ根強い男女間の賃金格差です。多くの場合、女性は男性にくらべて生涯年収が少なく、その差がかなり大きくなるケースもあります。

次に女性は男性にくらべて、子どもの世話や親の介護で仕事を休まなければならないことが多いです。よってリタイア時の社会保障年金も確定拠出型年金も、男性にくらべて積み立て額が少ないわけです。

さらに女性は男性より5年ほど長生きする傾向にあるため、リタイア生活の資金は男性より余分に必要です。とにかくしっかりお金を稼ぎ、積極的かつ賢く投資して、最後まで生活レベルを落とさずにリタイア生活を過ごせるようにしたいものです。

クリスティン:男女の賃金格差に言及されましたが、女性の大学卒業率や初任給に関するデータを見ると男性よりも圧倒的に高いです。それなのになぜ賃金格差がなくならないのでしょう?

ジーン:育児のためでしょうね。私が見た最新の数字では、大学を卒業した女性は男性100人に対して132人でした。大学院を修了した人の数も女性のほうが男性とくらべて圧倒的に多いのです。

初任給は以前より均等化されてきたとはいえ、まだ男性のほうが優勢です。たとえば若い女性医師と男性医師を比較した研究が複数あるのですが、ほとんどの場合、男性医師のほうが稼ぎがいいです。

女性が選ぶ専門分野やキャリアが賃金格差の原因となることもあります。大学を卒業し、これからどうしようとなったとき、子どもや高齢の親がいると給料が低くても家族の世話をしやすい職業を選びがちなのです。

男女間の賃金格差の原因として、子どもができたときや家族に何か起きたとき、女性が世話を任されやすいことがあげられます。女性は仕事をやめるか、仕事に充てる時間を減らして家族の世話にあたるので、給料が下がり、その差がそのまま持ち越されます。その時点から女性の生涯年収は男性にくらべてぐんと下がります。

またガラスの天井問題もいまだに残っています。そしてガラスの天井をつくっているのは社会でもありますが女性自身でもあり、女性は管理職に就く努力をあまりしません。

さらに白人対黒人など、人種による待遇の差も存在します。そういった格差は過去のものだと思われがちですが、実際のところ状況はそれほど改善していないのです。