クリスティン:離婚した女性はどうですか? 未婚女性は? リタイアに向けた資産形成で、そういう女性が直面する課題はありますか?

ジーン:リタイアに関して離婚は大きな障害となります。人生の障害といっていいでしょう。離婚女性の5人に1人は貧困を経験することになります。これについては男性のほうが傷が浅いことがデータからわかっています。

子どもがいる女性は子育てをしながら働かねばならず、満足な収入を得られないことがありますし、生活費を得るために本来は手をつけたくないアセットを取り崩さなければならないこともあります。

私も離婚経験者です。私のほうが家を出ましたが、将来、子どもたちが快適に暮らせる家を買うと心に決めていました。幸いにもこの野望は実現しました。ただ老後資金に手をつけてまで家を買おうとする女性も多く、これはまちがった選択かもしれません。

今、未婚女性が急速に増えています。そして未婚女性には未婚女性の課題があります。現代社会では(とくに子どもがいる場合)、快適な生活を送れるだけの資産を蓄えるのが難しいのです。

クリスティン:明るいニュースはないのでしょうか?

ジーン:相続は明るいニュースかもしれません。世代間の富の移動に注目すると、その大部分は最終的に女性に流れます。両親はもちろん、寿命の関係で夫からも相続する可能性が高いからです。

今後、数十年のあいだに、女性にかなりの富が渡ることになるでしょう。この富の移動に関してまだわからないのは、いったいどれだけのお金が渡るかということです。

親の世代は以前よりもはるかに長生きですし、認知症を含めてかなりの医療費を必要とします。世代間の富の移動がなされる前に資産が尽きるかもしれません。

How to Retire お金を使いきる、リタイア生活のすすめ』(クリスティン・ベンツ:著・岡本由香子:訳/KADOKAWA)