特性自体は、だれにもある
ASDの診断がついていない人のなかにも、対人関係やコミュニケーションの困難を抱えている人や、興味や関心の範囲がとても狭い人がいます。
これは私見ですが、「対人コミュニケーションに苦手意識がある人」にも、ASDの傾向を持つ人はけっこう多いのではないかと感じます。
また、時計の秒針の音が妙に気になったり、柔軟剤の匂いが強く感じられて不快感を持ったりといった感覚過敏の特徴を持つ人もいます。
さらに、極端に清潔さや整頓にこだわる人(いわゆる“潔癖気質”の人)だったり、極端にルールに厳格だったりする人も、ある程度は発達に特性を持っている可能性があります。
ADHDの特性と言われる不注意や衝動性なども、多かれ少なかれ、どんな人でも持っているものです。
最近では、発達障害についての認識が広まってきたこともあり、発達障害の診断を受けていない人と話していても、「じつは私もよく大事な物をなくしちゃうんです」「衝動買いが多くて……」「音に敏感で夜もすぐに起きてしまう」といった話を聞く機会が増えています。自分にも特性があると自覚している人も増えてきたようです。
かく言う私も、片づけが大の苦手で、部屋はなかなかきれいになりません……。
もちろん、発達障害の診断を受けてサポートを受ける人は全体のなかでは少数派です。でも、発達障害の特性というのは、このようにだれしもが少なからず持っているもので、その度合いによって「サポートが必要かどうか」が決まるだけです。
そうした認識が世の中にもっと広がっていけば、みんながもっと生きやすくなるだろうと思っています。