発達障害の特性が重なっていることも少なくない
1人ひとりの特性は異なるため、まずは理解することから
発達障害の子どもたちには、複数の特性が重なって見られることが少なくありません。とくにASDとADHDの両方の特性を持つお子さんは多いです。
このような場合、単純に「この子はASDだから、こう対応する」「この子はADHDだから、こうしたらいい」とあてはめるのが難しいことがあります。
患者の子どもにASDとADHDの両方の傾向が見られる場合、診断時には“ASDとADHDの両方の特性があるがASDの特性のほうがより濃い”といったようにお伝えすることがあります。
どちらかと言うとASDの特徴である社会性の課題が学校生活で大きな影響を与えているけれども、ADHDの特性である忘れ物や物の管理の難しさが日常生活の困りごととしては目立っている、というケースもあります。
こうした場合は、どちらか一方が「問題ない」ということではなく、両方をふくめた臨機応変な対応が求められるのです。
さらに、知的障害があるかどうかによっても、支援の方法をその子に合わせて変えていく必要があります。
知的な遅れがある場合は、生活上の困難が増えることが多く、より専門的なサポートや柔軟な対応が必要になります。
なにより大切なのは、“診断名”ではなく、“目の前のその子がどんな困りごとを抱えているか”に目を向けて支援することです。