発達障害はどう診断されるの?
発達の特性とは「知能のばらつき」とも言える
子どもの発達障害の診断を行うのは、子どもの発達や精神科診療に関わる医師です。診療科で言うと、小児の発達を扱う小児科、児童精神科となります。
近くにそういった診療科のある医療機関が見つからない場合は、まずはかかりつけの小児科や保健所、地域の保健センターや福祉相談窓口、療育センターなどで相談してみてください。必要に応じて、専門機関へ紹介してもらうことができます(ただし、診断を受けたい人に比べて、診断できる医師やクリニックが不足しているのが現状です)。
発達障害の診断を行う医師は、親子との面談を通じて、出生時からの発達過程でどんなことがあったか、どのような特性を持っているのかといった生育歴を詳しく聞いていきます。
さらに診察室での言動を観察したり、家や幼稚園や保育園、小学校などの社会生活の場面での様子などを聞き取り、発達障害の診断基準に照らし合わせ、社会生活にどのような影響が出ているのかを検討したうえで診断を進めていきます。
発達に特性が見られても、日常生活に明らかな困難がなければ、発達障害とは診断されないこともあります。
また、診断をつける際には、補助的な検査として知能検査を行います。
よく用いられるのは5〜16歳の子どもを対象にした「WISC」と呼ばれる検査で、子どもの認知能力について得意な部分や不得意な部分を知るために行われるものです。
具体的に言うと、全体的な認知能力を示す全検査IQと、「言語理解」「視空間」「流動性推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」という5つの指標をそれぞれ数値化して、その結果から発達のバランスを把握します(「WISC-4」までは4つの指標でしたが、「WISC-5」から5つの指標となりました。今後も改訂されたら変わる可能性があります)。
この検査を通じて、その子はなにが得意でなにが不得意なのか、という発達のバランスを具体的に知ることができるのです。
ある専門家は、発達障害のことを「知能のばらつき」と言っており、これはとてもわかりやすい表現のひとつだと私も考えています。