子どもの視界に入って、目線を合わせて話す

このタイプのお子さんには、まず「伝え方」を工夫することがとても重要です。

とくに覚えておいてほしいのは、その子の視界に入って、目を合わせて話をすること

『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』(著:精神科医さわ/日本実業出版社)

親御さんたちは忙しい毎日のなかで、つい家事などをしながら遠くから「~しなさい」とか「~やったの?」などと声をかけがちかもしれません。

でも、声をかけるときは必ず子どもの近くに行って、目線を合わせて注意を引きつけるようにしましょう。

「何回言っても、子どもが聞いてくれない」という相談もよく受けますが、よく聞いてみると、子どもの視界に入らず声をかけていることがほとんどです。

まずは子どもと目を合わせ、子どもが「話を聞くモード」になったことを確認したうえでゆっくり話しかけてみてください。

また、そのときに大声で命令形の指示を出すと、子どもはその声の大きさや強い口調に気を取られて、かえって内容が伝わらないことがあります。

威圧的な口調は子どもに不安やストレスを与えることもあるため、おだやかなトーンで伝えることを心がけてください。

たとえば、「この番組が終わったら、ご飯を食べようね」とか「3時になったら、おもちゃを一緒に片づけようか」というように、やさしい言葉で具体的に伝えます。そのときに、時計やタイマーなどを持って視覚的にもわかるようにして会話ができるととてもいいと思います。

そして、子どもがすぐにできなくても、頭ごなしに怒らないようにしましょう。

子どもにきちんと伝わっているかを確認することも大事です。

たとえば、「今、お母さんが言ったこと、伝わったかな? ちょっと言ってみてくれる?」とやさしくたずねることで、子どもがどのように理解しているかを確認できます。

この際には「まちがっていてもいいから言ってみて」と伝えることで、子どもは安心して話すことができます。