日本のブランドがDCブームの主役になった

さてその六本木スーツの代表格はアルマーニ、華やかな夜を彩った派手なプリントの服の代表はヴェルサーチでしたが、日本のブランドも負けてはいません。70年代後半からDCブームが巻き起こりましたが、その主役は日本のブランドでした。とくに欧州のブランドにも引けを取らない質の高い婦人プレタポルテの代表格で、ヴァンヂャケット出身の柴田良三による「アルファキュービック」は70年代から異彩を放っていました。

1985年にドル安誘導を目的とした先進5カ国による「プラザ合意」以前の海外ブランドは、まだまだ高嶺の花。円が250~360円もした訳ですから、輸入品は、舶来品と言われ、高額品の象徴のように見られていました。

『アパレルビジネス』(著:久保雅裕/クロスメディア・パブリッシング)

銀座の老舗専門店「サンモトヤマ」で「エルメス」や「グッチ」「ロエベ」などを購入できる層はごく一部の富裕層。ほとんどのパリコレ、ミラノコレブランドは、日本の代理店が契約して、国内アパレルメーカーにライセンス服を作らせる仕組み「ライセンスブランド」で賄っていたのです。

それら高級ブランドのライセンス権を取り合ったのが百貨店です。