百貨店の衰退と合従連衡
三越は「クリスチャン・ディオール」「ランバン」、伊勢丹は「イヴ・サンローラン」、高島屋は「ピエール・カルダン」、西武百貨店は「フェンディ」「ヴァレンティノ」、大丸は「ジバンシィ」などこぞってライセンスホルダーとなり、国内アパレルや革小物、スカーフ、靴、ベルト、ネクタイなど様々な専業メーカーをサブライセンシーにして、それらを生産させ、自身の店舗での目玉ブランドに育てていったのです。
そう言えば、有名なパリコレブランドの便所スリッパやこたつ布団なんていうのもありましたね。
しかしプラザ合意で一気に円高へと進む中で、バブル期にはニューヨークの象徴的な高層ビル「エンパイアステートビル」など海外の不動産を買い漁れるほどの経済力を持った日本は、「我が世の春」のごとく、安くなったインポート商品も買えるようになっていったのです。
こうして90年代に入ると、似て非なるライセンス物より本物(インポート)の方が、価値があるし、また購買力もそのレベルまで上がってきたことにより、ライセンスの契約が続々終了となっていきます。
また多くのライセンス権を持っていた百貨店の衰退と合従連衡も、それに拍車をかける原因ともなりました。91年のそごうと西武に始まり、2008年の阪急と阪神、09年の三越と伊勢丹などへと波及していきます。これら2000年代の合併もバブル崩壊以降の景気の低迷、大型ショッピングセンター(SC)の台頭などの影響が色濃かったと見られています。
百貨店の顧客を一部奪ったとみられる前述の大型SCですが、91年の大規模小売店舗法(大店法)の規制緩和、2000年の大店法の廃止、大規模小売店舗立地法(大店立地法)の制定で、さらに規制緩和され、準都心型SCと百貨店との競合が激しくなる中で経営統合へと至るのです。