やなせさんのチャーミングさ

<戦争パートでの重々しさが一転、戦後は物語の空気も明るくなり、嵩はコミカルなシーンも増えてきた。第102回では、これまで「医者になれ」とけしかけてきた登美子が「好きな道に進むのがいちばん」という発言をして、あきれた嵩が飲んでいたお茶を吹き出すシーンが話題になった>

戦争パートを演じていたころから、やなせさん的なチャーミングさをどう作ればいいのか考えていたんです。戦争を経験してる人の感覚や表情、たたずまいは必要なので、チャーミングさとの塩梅が本当に難しかった。岩男役の濱尾ノリタカ君の友人が、「本当に戦争を経験している人の背中を演じられていて胸が打たれた」と伝えてくれたので、戦争の部分はよかったのかもしれません。

高知新報パートぐらいからチャーミングさやポップな部分をにじませていきました。脚本が進んでいくと、柳井嵩としてのオリジナリティが、どんどん強調されていく。その中であったのがお茶を吹き出すシーンです。僕はこれまで映画の『東京リベンジャーズ』などで血を吹き出す芝居がよくあって、「血しぶきの天才」と一時期呼ばれていたので、ああいうのは得意。「ちょっとリベンジャーズやります」とお茶を吹いたのを覚えてます。(笑)

大森元貴さん演じるいせたくやとのシーンは、元貴君自身がすごくポップな人なので演じやすかったです脚本に書かれていることをひっくり返して、現場のセッションだけで作っていくと、意外と嵩らしいポップな瞬間がたくさん生まれたような気がしてます。