絵画教室が原点
<漫画家の役だけに、嵩は絵を描くシーンも多かった。北村さんも絵を描くシーンでは漫画担当の指導を受けながら撮影に臨んだという>
小学生のころから絵画教室に通っていたんです。撮影期間中は、前室でずっと絵を描いていました。本当に暇を極めた時は、周りを巻き込んで「絵しりとり」をしていました。オールアップした方の似顔絵も描いていました。改めて絵がすごく好きになりましたし、楽しかったです。
幼少期から嵩はずっと何かを書いています。僕も今、歌詞を書いたりします。何かを作ることを、僕も子供の頃からずっとやっていたし、思い返せば創作活動の原点は絵画教室でした。創作を楽しむ姿勢は確かに僕にも柳井嵩にも流れていたなぁと感じています。
<制作統括の倉崎憲さんは、嵩役に北村さんを起用した理由について、北村さんのライブのMCで、生きることへの思いや姿勢にやなせさんの哲学を感じたことを明かしている。やなせさんが作詞を手がけた『手のひらを太陽に』や『アンパンマンのマーチ』の詩に北村さんとリンクする部分を感じたのだという>
やなせさんの言葉を見ると、価値観や哲学の部分で本当に近かったんだと感じました。やなせさんは、『アンパンマンのマーチ』の中の、命にまつわる歌詞が子供向けではないと言われて、修正を求められたそうです。僕も、暗すぎると言われてしまう歌詞がよくあります。
ポジティブなことには必ずネガティブなことがつきものだし、そこを描かないことにはポジティブは伝わらないと思っています。天国のやなせさんが僕の価値観を肯定してくださっている感覚があって、おこがましいかもしれないですが、やなせさんの言葉に救われつつ、大丈夫だよって言ってくださっているような気がしていました。