2.仮説:お客様の立場になって考える

観察で得た情報をもとに、一流のサービスパーソンは「このお客様は何を求めているのか」「どのようなサービスが最適か」と仮説を立てます。

鈴木さんの例で言えば、「高齢で体調がすぐれないようだから、長時間立っていることは避けたいだろう」「杖をついているので、なるべく移動距離が少ない席が良いだろう」「1人で来られているので、知り合いがいる席の近くが良いかもしれない」といった仮説です。

この「仮説」を立てる際に重要なのは、自分の価値観ではなく、お客様の立場になって考えることです。

若いスタッフが80代のお客様のニーズを想像することは決して容易ではありません。しかし、一流のサービスパーソンは自分の枠を超えて、お客様の視点から世界を見る想像力を持っています。

また、この仮説はただの憶測ではなく、過去の経験や知識、そして何よりもお客様についての情報に基づいた「教養ある推測」です。前田様の例では、鈴木さんは過去のお客様情報や最近の様子など、さまざまな知識を総動員して仮説を立てていました。