「観察・仮説・寄り添い・行動」の4ステップ
某有名企業の創業100周年記念パーティでの出来事です。会場となった宴会場には、国内外の大手企業の役員や政治家、長年のお得意様など約800名が集まっていました。私は入り口付近で案内係を担当していました。
そこへ、杖をついた高齢の紳士が1人でいらっしゃいました。その方は特に派手な装いではありませんでしたが、彼を見た瞬間、宴会サービス支配人の鈴木さん(仮名)がすっと近づき、「前田様(仮名)、ようこそお越しくださいました」と声をかけました。
鈴木さんはお客様の歩行ペースに合わせながら、「お足元が悪い中、遠方よりご参加いただき誠にありがとうございます。体調はいかがですか?」と自然な会話を続けました。そして、会場内で最も出入り口に近く、かつ椅子の座り心地が良い席へとご案内したのです。
このやり取りを後で鈴木さんに尋ねてみると、「あの方は帝国ホテルの古くからのお得意様で、昨年奥様を亡くされてからは一人暮らしをされています。最近は腰を悪くされているので、長時間の立ち話や歩行が難しいことを知っていました」とのこと。
この一連の流れこそ、一流のサービスパーソンが無意識に実践している「観察・仮説・寄り添い・行動」の4ステップなのです。