「表面に液体の水」があるのは地球だけ?

木星や土星の衛星の中には、地下に液体の水がありそうなものも見つかっています。

でも、「表面に液体の水」があるのは、私たちが知るかぎり今のところ地球だけです。

とすると、どうして地球は表面に液体の水をもっているのでしょうか。

たとえば、地球のひとつ内側をまわる金星は、大きさも重さも地球と似ている双子のような惑星です。

ところが、金星は灼熱の惑星です。

『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』(著:野田祥代/草思社)

なにしろ表面の温度は400度を超えています。400度というと鉛がドロドロに融ける高温です。上空では時速400kmにもなる暴風が吹き荒れ、硫酸の雲が浮かんでいます。

金星の分厚い大気は二酸化炭素です。

気圧は90気圧。地球の海なら、90気圧は深海900mの水圧に相当します。人間の素潜り(フリーダイビング)の世界記録は100m強だそうですから、それを大きく超える900mともなれば、私たちの鼻や喉、胸などは水圧でギュウとつぶれてしまうことでしょう。

そんな金星の水はといえば、大昔に宇宙に逃げてしまったといわれます。

金星のようにすぐとなりの惑星でも、環境は地球と大きく違っていることが感じられるのではないでしょうか。