私たちが使える水はどれくらい?
さて、熱い金星や、宇宙空間の「おしっこ」。
宇宙に目を向けてみると、気づくことがあります。
地球の「水の惑星」の秘密は、温度と気圧のなんとも絶妙なバランスにありました。
蛇口からジャーと水が出るのも、そもそもあなたの体が水分たっぷりなのも、実はぜんぜんあたりまえではなく、宇宙では珍しい地球独特のハーモニーが支えていたのです。
理科年表という自然科学のデータブックによると、地球上の水の総量は、約14億立方キロメートル。数字だけ見ると「たくさんありそう」くらいしかわかりませんが、このうち、たとえば私たちが使える水はどれくらいあるのでしょうか?
調べてみると、全体の97%以上はどうやら海水のようです。
ほとんどがしょっぱい水。しょっぱくない淡水は残りの3%弱で、地球上の水のほんのわずかです。さらにその3%の淡水のほとんどは、氷河や、深いところにある地下水です。
いろいろ差し引くと、地球全体の水のうち川や湖など私たちが利用できそうな水は、たった0.01%になってしまいます。
「0.01%」は、ざっくりいうと、「家のお風呂にはった水が地球全体の水なら、私たちが手にできそうな水は、大さじ1杯くらい」ということです。
今晩にでも、お風呂に大さじをもっていって1杯すくってみてください。
私たちは、この本当にちょっとだけの量をみんなで分けるしかないのです。
もちろん「みんな」といっても、私たち人間だけではありませんね。
※1 『宇宙からの帰還』 立花隆 中公文庫
※本稿は、『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』(草思社)の一部を再編集したものです。
『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』(著:野田祥代/草思社)
本書は、宇宙の生い立ちや星の一生、宇宙の構造といった科学的事実をやさしくひもときながら、人間の存在を宇宙のスケールで見つめ直す視点を提供する。
人間の存在は小さい。だが、その小ささにこそきっと意味がある。
宇宙を知ることは、私たち自身を知ること、その扉を開く一冊。