私たち現代人にも有効な心得

千利休の「利休七則」は、戦国時代の茶の湯の心得とされていましたが、実はそれ以上に、人と向き合うための七つの心得でもあり、私たち現代人にも驚くほど有効なのです。

利休七則に込められた心の教えは、決して難しいものではありません。むしろ、今を生きる私たちにこそ、必要な優しさと実践性に満ちています。

『一日5分で自分をリセットする ひとり茶道』(著:竹田理絵/青春出版社)

おうちで一服のお茶を点てる。その静かな時間のなかで、千利休が伝えた、心を整える知恵のなかには、日々の暮らしやビジネス、生き方の指針においても大きなヒントが隠されています。

利休七則にまつわる逸話があります。弟子から「茶の湯とはどのようなものですか?」と尋ねられたときに利休が答えたのが、この利休七則です。

それを聞いた弟子は、「それくらいのことなら私でも知っています」と答えたところ、利休は「もしそれができているのなら、私があなたの弟子になりましょう」と返したそうです。

これは、知っていることとできることは別のものであり、あたりまえのことを実践する難しさが込められています。理屈ではわかっていても実際やってみると、簡単なように見えて難しい、その奥深さを物語っています。

たった七つの心得ですが、そこに人の心を育て、人生を豊かにする極意があるのです。