心を点てること
これは、今、目の前の相手が、何を必要としているのか。言葉の温度を合わせることで、対話が変わってくるという利休の教えのひとつです。
彼女は職場でも、部下に対して、自己都合による一方通行の話が多かったと反省し、相手の状態をふまえ、時間を置くことや伝え方を工夫するなどで、寄り添った指導をしていくように変えていったそうです。
また会議では上司部下の関係はありますが、発言する場面では常に対等であるとの意識を持ち、素直に部下の意見も聞くことを心掛け、それが活発なコミュニケーションにつながって、有意義な会議となったそうです。
そのことにより、会社での人間関係も良くなり、仕事も順調に進むようになったと喜んでいました。
相手に合わせた柔軟性のある気配りは、効率化だらけの現代社会において、信頼関係の構築に役立ち、いつの時代においても変わらないことだと改めて感じたそうです。
お茶を点てるように、仕事でも家庭でも、心を点てる。心を点てるとは、やさしさ、祈り、想い、感謝などの心を一緒に込めることです。それが、忙しい現代を生きる私たちにとって、一服のやすらぎであり、人生の豊かさなのかもしれません。
※本稿は、『一日5分で自分をリセットする ひとり茶道』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『一日5分で自分をリセットする ひとり茶道』(著:竹田理絵/青春出版社)
本書では、お茶の効能や精神的な効果、茶道を生活に取り入れる具体的な方法を紹介。
累計7万人の生徒や体験者の具体例を盛り込みながら、心身ともに充実したライフルスタイルを実現するための、日常生活で簡単に実践できる心と体の“整え方”を提案する。