「悪意はない」と受け入れる
こうした場合、悪意があるわけではない、と思えば多少なりとも怒りが収まるのではないでしょうか。
まず取るべき対応策は「この人は、こういう人なんだ」と受け入れてしまうことです。人に対して、返事ができないのだと決めてしまいます。
私のような精神科医に対しても、簡単に心を開くことのできない人も数多くいます。
よかれと思って取った対応も効果を発揮しないこともあります。ますます心を閉ざしてしまうこともあります。
濃密な人間関係だけがいいとはかぎりません。「軽い関係」「薄い関係」を求める人もいるのです。それでいいではありませんか。
返事など期待せず、とにかく仕事だけはきちんと進められるように、最低限のコミュニケーションを取るようにします。
「軽く」「薄く」関わっていく。それだけを心がければいいでしょう。怒りが生じる余地はありません。
※本稿は『感情的な自分から卒業する本』(アスコム)の一部を再編集したものです。
『感情的な自分から卒業する本』(著:和田秀樹/アスコム)
感情とは何でしょうか?
目には見えないけど、確かにあなたの中に存在しています。自分にとって大切なものである半面、自分を振り回すやっかいな存在でもあります。
「ふざけるな!」「何度言ったらわかるの?」「自分勝手すぎる!」「なんでそんなひどいことが言えるの?」「相手がそんな態度を示さなければ、こんなに頭にくることはないのに!」
思わず相手を責めてしまいます。でも、残念ながら、どれだけ言っても相手が変わることはほとんどありませんし、変えるためには、とてつもない時間と労力がかかります。感情的に反応して損をするのはあなた自身です。