妻夫木聡の存在感

<戦争パートで嵩を導いたのが、妻夫木聡さん演じる八木信之介だ。嵩の才能や人間性を評価し、軍隊では折に触れ、助け船を出してきた> 

(『あんぱん』/(c)NHK)

戦争パートでの八木はどういう人かわからない、不可思議な存在。物語のスパイスとして登場しました。それまでは朝ドラっぽい、ほんわかとした日常が描かれていたのに、初めてミステリアスな人物が出てきた。物語を作る上でも、1つのアクセントでした。 

妻夫木さんは、普段はすごく気さくな方ですが、映画や大河の主役を担っているような俳優。そういう人が現場に入ってくると場が締まりますよね。  

健太郎は八木について、軍功を挙げた人に与えられる金鵄勲章を持っていると噂します。制作側としては、勲章について「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」と当初はあいまいにしていました。 

ただ、妻夫木さんと僕らの間では、勲章を受けた人だという設定でした。つまり、八木は戦争で人を殺した人であるということをちゃんと決めていた。第127回で、八木が勲章を受けたこと、戦争で人を殺した苦悩を蘭子に打ち明けますが、戦争パートの時点では勲章の話が後からクローズアップされることは決まっていませんでした。