卵のシーンでは
<戦争パートで印象的だったのが、空腹を表現した場面だ。嵩と同じ隊に所属し、飢えた康太(櫻井健人)が、老婆の家に押し入り、食料を強奪しようとするシーンはインパクトを残した。老婆が奥から卵を持ってきてゆでてくれると、康太や嵩、神野班長(奥野瑛太)は殻ごと食べたからだ >
脚本には「卵の殻をむいて食べる」とあったんです。そんな余裕はないだろうなと思っていたこともあって、リハーサルで北村さんに「むいて食べる?」と聞いたら、「いや、食べませんよね。お腹が減っているのでそのまま食べますよ」と言ったんです。その一言で、一緒にいた奥野さんも櫻井さんも覚悟をしたような感じがありました。
本番の撮影では、殻ごと卵をバリバリ食べる音がして。すごく物悲しく感じました。人の生命力とその裏にある悲しさ。人間が生きることは、こんなに悲しいことなんだと思いました。この時の音は映像でもそのまま生のを音を流しています。
裏話になるんですが、殻ごと食べることになった時に、助監督陣が事務所に連絡して「大丈夫ですか」と確認していました。でも、役者さんたちが「やる」と言ったことですから、当然、「やめよう」という話にはなりませんでした。