真の贅沢とは

昔のぼくは五つ星高級ホテルに泊まり、そこのバカ高いレストランの個室とかで食事をしているのが自分らしいと信じていたが、今は旅もB&Bにしか泊まらないし、贅沢は敵だという暮らしになってから見えてきたものがたくさんある。

今、ぼくが日々書いているこの日記は、高級とかリュクスとかそういうものからはほど遠いけれど、真の高級であり、真のリュクスであることだけは言っておきたい。

お金で買えるものだけが贅沢ではない。自分で工夫をして、生活を豊かに出来た時、人は尊い満足と真の贅沢を得られるのである。

※本稿は、『犬と生きる』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

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犬と生きる』(著:辻仁成/マガジンハウス)

パリ在住の芥川賞作家が描く愛犬・三四郎との日々。

『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』のその後の物語。