『赤い糸 輪廻のひみつ』の数奇な運命
ギデンズ・コー監督へのインタビューに移る前に、今、日本で上映期限が迫る『赤い糸 輪廻のひみつ』の背景をもう少し深く掘り下げます。
台湾でメガヒットを記録したにもかかわらず、この作品は、そのジャンルレスで一言では説明しがたい内容のためか、何故か日本の大手配給の買い手がつかず、小さな配給チーム(台湾映画社、台湾映画同好会)が劇場上映権だけを買い付けて公開に漕ぎつけました。映画の配信やソフト化の権利は大手プラットフォームが保有しており、劇場上映権は今年の11月をもって消滅します。
この極めて異例の状況が、かえって観客の熱を高めました。当初は単館上映のみだった本作は、SNSの熱い口コミに加え、再上映リクエストサービス「ドリパス」でのリクエストが殺到。これに映画ライターや評論家、関係者の売り込みも加わり、単館での再上映が繰り返されるうちに全国へと広がり、11月中の上映迄という最後の最後で、ついに一部大手シネコンも上映に動き出すという劇的な広がりを見せています。
『赤い糸 輪廻のひみつ』は、原題の通り、運命の赤い糸を結ぶ神様「月老(ユエラオ)」の伝説をベースに、記憶を失った主人公が死後の世界で「月老」に就任するという物語です。笑い、涙、愛、友情、そして動物や怨霊までもが登場する何でもありの極上エンタテイメントであり、その魅力が日本の観客の心を見事に射抜きました。
上映終了が目前に迫っています。もしお近くで上映がある方は、この異例のヒットを体感するためにも、ぜひすぐに映画館に駆け込んでいただきたいと思います。