ギデンズ・コー監督に聞く『赤い糸』の秘密

――監督は、ご自身の作品の中でも特に『赤い糸 輪廻のひみつ』を気に入っていると伺いました。この多様なジャンルが混在する作品は、どのように生まれたのでしょうか?

この作品は元々小説として生まれました。ある少女に恋をしていた若き日の僕自身を懐かしみながら、その想いを文字にしたためた25年前の作品です。小説のほうが実は映画よりもずっと自由奔放で、やりたい放題でした。その小説を映画化したのが本作です。

ギデンズ・コー監督(提供写真)

映画化するときに、「もしこれがヒットしなかったら、これが自分にとって最後の映画になるかも!」との思いから、さまざまなジャンルの要素を作品に盛り込みました。あらゆる手段を尽くして、無我夢中で撮った、まさに僕の全身全霊をかけた作品ですね。(※3)

――一度観ても分かりやすく、何度も観たくなる緻密な構成はどのように作ったのですか?観客を夢中にさせる工夫について教えてください。

創作をする以前に、僕ら監督も皆、観客であり読者です。だからこそ「自分が観る側なら……」と立場を変えて考えると「お金を払ってでも絶対に見たいと思える映画」を撮りたい、ただそれだけの思いがあります。

『赤い糸 輪廻のひみつ』(c)2023 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

――それは、自分が観る側として喜べるものを作る?ということですか。

はい。自分自身を喜ばせることは簡単じゃないけれど、やり方はあると思っています。もちろん、自分のことを十分に理解していればの話ですがね。

問題は、たくさんの観客を夢中にさせる一方で、同じくらいたくさんの観客に嫌われているんじゃないか、ということ。けれど、映画を撮りながら「はなから映画のチケットを買うつもりのない観客」のことばかりを考えてしまうと、「ギデンズ・コーがまた何か撮ったって! 観に行かなきゃ!」と熱狂する忠実なファンをワクワクさせる機会をも失ってしまう……。僕はこの点はわりと吹っ切れていて、僕を嫌っている人たちのことは気にしません。

一緒に映画を作ってくれるプロデューサーの方々は、僕なんかよりもっと大きな夢や野望を抱いてくれているんです。その夢を信じて、僕の映画に資金を出してくださった心優しい出資者の皆さんの期待が、必ず実を結ぶようにと、心から願っています!