『赤い糸』異例のロングランと新作、未来への展望

――ジュアン・ジンシェン監督の新作『ひとつの机、ふたつの制服』は、高校を舞台に、教室で机を並べる二人の女子高生の、性別や年齢、国籍を超えた複雑な友情や愛を描いた青春ドラマ。日本公開にあたって、ギデンズ・コー監督が同作を絶賛したことが宣伝文句として使われています。この作品のどのような点に魅力を感じましたか?またご自身の作品との共通部分や、台湾ならではと思う部分などあれば教えて下さい。

青春を撮るには、絶対に、絶対に、絶対に、「大人の視点」を捨てなければならないと僕は考えます。なぜなら、「子どもの成長」と「大人の目から見た子どもの成長」とは全くの別ものだから。

『ひとつの机、ふたつの制服』Renaissance Films Limited (c)2024 All Rights Reserved. 

『ひとつの机、ふたつの制服』は、青少年のもっとも秘められた劣等感をさらけ出し、また青春の、本当は弱いのに強いふりをして隠している、という点をきちんと押さえることができています。……というのも、僕たちは皆、かつて人と違っていたいと願いながら、同時に他人と違う自分を恐れるという矛盾を抱えていましたからね。このことは台湾に特有ではなく、むしろ台湾と日本とで非常に似ているのではないかと思います。

――似ている部分があってこそなんでしょうか。『赤い糸 輪廻のひみつ』の日本でのロングランについてどう思いますか?日本の観客に響いた理由や、日本の文化について感じることはありますか?

『赤い糸 輪廻のひみつ』が日本の観客の心を打つ理由について語るよりも、むしろこの作品を日本に届けてくれた配給チームに感謝の意を表したいと思います。

彼女たちは僕が懸命に作り上げた作品を大切にしてくれて、僕が作品にまとわせたユーモアというアイシングを、ゆっくり丁寧にケーキの中に焼き込み、その感動的な味わいを花のように咲かせてくれました。これこそが僕の想像する、僕と日本の観客との間に築いた架け橋の真の理由。僕はこのことに心から感謝しています!