台湾映画の未来

――『赤い糸 輪廻のひみつ』と『ひとつの机、ふたつの制服』が同時期に日本で上映される現状を見ていると、やはり台湾は「青春映画」の強みを持つ土地なのだと再認識させられます。監督ご自身は、こうした動きを見て、台湾映画が今後どのように変化・進化していくとお考えになりますか?

『ひとつの机、ふたつの制服』Renaissance Films Limited (c)2024 All Rights Reserved. 

台湾映画の未来はまず本当に自由な創作が保障されることにあります。僕にとっての創作の自由を阻む唯一の障害は「資金不足」だけで、その他の雑念は存在すべきではありません。

だけど今、私が思うに、台湾の映画クリエイターたちは皆、特定の政治人物による映画製作補助のための長期資金運用制度への絶え間ない攻撃にさらされ、あらゆる手段でいわれのない汚名を着せられるという窮地に立たされていて、結果的に文化クリエイターたちに「物乞い」のレッテルが貼られ、一般の人々と文化クリエイターの間に対立が引き起こされているる……僕はそれをとても悲しいことであり、健全な状況ではないと思っています。

――日本の映画市場についてどうお考えですか?日台共同制作やリメイク作品もありますが、今後日本でやってみたいことや展望があれば教えてください。

もっと多くの日本の観客に僕の作品を楽しんで欲しいですね。

リメイクや合作ですが、絶対にやってみたい!ホラー映画を日本で撮ったら、きっと怖くて怖くてたまらないはず! でも本当に日本とコラボしたいのは、僕の最も大切な『獵命師傳奇』(訳注:2005年から2013年にかけて発表した小説)と『狼嚎』(訳注:2004年に発表した小説)のアニメ化だね。この分野では日本が世界一なのだから!

それから次回、僕は新作『功夫』を引っ提げて日本に行きたいです。もしもそこに愛が足りないなら、パンチとキックを加えましょう!

――ぜひ来てほしいですね。

 

今回のインタビューから、ギデンズ・コー監督のクリエイティブの源泉、そして台湾映画の持つ温かさと普遍性が改めて浮き彫りになりました。

監督の新作『功夫』を楽しみに待ちながら、私たちは彼のメッセージを受け止めたいと思います。知っている人も知らない人も、ギデンズ・コー監督が牽引する台湾映画の「青春」の勢いを、ぜひ劇場で体感してください。

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『ひとつの机、ふたつの制服』ポスターより。Renaissance Films Limited (c)2024 All Rights Reserved. 

 

ひとつの机、ふたつの制服

 2024年製作・ジュアン・ジンシェン監督作品。

公式サイト:maxam.jp/hitofuta/ 

日本公開:2025年10月31日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

原題 英題:夜校女生 The Uniform 

配給:ムヴィオラ、マクザム

【あらすじ】高校を舞台に、教室で机を並べる二人の女子高生の、性別や年齢、国籍を超えた複雑な友情や愛を描いた青春ドラマ。