「おばあちゃんと孫」の探し方
~キャスティングについて~
脚本を書いているときに意図したのは、自分の祖母と似たような性格の人です。口は悪いけれども、実は思いやりがあって、内面は優しい人なのです。
ところが、候補者を探すために、CM出演経験者や、助監督の知っている役者の一覧など考えられる限りの人物を当たったりしたのですが見つからず……最終的に、助監督の伝手で新人であるウサーさんに出会いました。
――助監督が関わったMVに出演するウサーさんを見て、オーディションに呼んだと伺いました。100人以上の候補者の中から選ばれて、今や「国民のおばあちゃん」となっているメンジュ役ウサーさんですが、「この人だ!」と思った瞬間、決め手になったエピソードがあれば教えて下さい。
オーディションでは幾つかのシーンを演じてもらうのですが、ほとんどの人が演じられなかったシーンがありました。それは、おばあちゃんを車椅子に乗せて、エムがおばあちゃんに「なぜ、エムに家をくれないのか」と言うシーンです。ウサーさんはこのシーンを見事に演じることができ、才能があるのだと思いました。
実は、おばあちゃん役のウサーさんに初めてお会いした時、本当にものすごく新人さんで、カメラ慣れしていないことに驚きました。私はスタッフとこっそり、「もし撮影中に、ウサーさんが急にカメラを見ちゃったら、面白いね」なんて冗談を言い合っていたほどです。それくらい初々しかったんですよ。
実際、撮影が始まると、彼女は本当にカメラを見ました。時にはカメラの向こうにいるスタッフやカメラマンをじっと見つめたりするんです。そこがまたウサーさんの可愛らしいところで、その「カメラ慣れしていない」感じが、かえって彼女の演技にとても自然な魅力を与えていました。私とウサーさんは非常に親しくなり、撮影後も彼女から電話がかかってきて、日々のことや健康状態について話をするような間柄です。(笑)
――まるで本当のお身内みたいですね。ウサーさんは78歳で、監督のおばあさまと同じくらいですか?
私の祖母は92歳で、とても元気です。……うん、第二のばあさんが出来た感じですね。