タイでは売れない?!”家族もの”
ドラマから長編映画へ、そしてアカデミー賞へ

――パット監督は、テレビドラマシリーズから、今回が初めての長編映画ということで、今までと違った点、苦労した点はありますか?

長編映画を撮ることはとても難しかったです。ドラマとアプローチが全く違いましたから。今までの経験で行くと、テレビドラマの作り方・制作の考え方では、まずしっかりしたストーリーの構造を作り、そこに詳細を着けます。ところが、映画は最初から詳細を考えていかないとなりません。ですから、脚本を書くことが物凄く大変で、執筆開始から8カ月経過して、ようやくどういう風に考えていくべきなのかが掴めました。

――タイを始めアジア各地でヒット、そして、アカデミー賞の国際長編映画部門ショートリスト入りの快挙、おめでとうございます。このことで変わったことはありますか?

表に出る機会が増えました。ですが、未だに慣れません。やっぱり脚本を執筆したり、監督をしたりという裏方の立場としてはなかなか難しいです。まあ、でも新しい経験だからいいかなと思ってはいますが(笑)、ただ、やっぱり取材で「私の答えが質問に合っているのかな」と心配しますし、「同じパターンで答えたくないな」とも思います。(笑)

――作品を作っているとき、大ヒットするという予感はありましたか?

全く思ってもみませんでした。最初は、自分でもがっかりしたくなくて……「この映画は最初で最後の映画かもしれない」と思うようにしていました。何故ならば、「タイでは家族をテーマにした映画はほとんど作られていない」からです。作っても儲からないと言われていましたので、私は、ヒットは期待せずとにかくいいモノを作ろうと思っていました。

病に侵されたおばあちゃんが、エムに遺すものは… 映画『おばあちゃんと僕の約束』より